退職を考える国家公務員へ:法律的背景とスムーズな退職手続きのヒント

公務員の退職に関しては、民間企業と異なり、退職手続きは法令上、所属長の承認が必要となるため、一方的に退職願を提出しただけでは確実に退職することはできません。

退職を検討する際には、国家公務員の退職に関する法的な前提を把握することが重要です。以下に、退職に関する法令の規定を整理します。

 

国家公務員法(昭和22年法律第120号)

 (休職、復職、退職及び免職)

第六十一条 職員の休職、復職、退職及び免職は任命権者が、この法律及び人事院規則 に従い、これを行う。

 

人事院規則八-一二(職員の任免)(平成21年人事院規則八-一二)

 (辞職)

第五十一条 任命権者は、職員から書面をもって辞職の申出があったときは、特に支障のない限り、これを承認するものとする。
 
地方公務員法判例→高松高裁昭35.3.31判決
公務員は退職願を提出することによって当然かつ直ちに離職するのではなく、退職願は本人の同意を確かめるための行政手段であり、その同意を要件とする退職発令が行われてはじめて離職することになるとされている。
 

人事院規則にある「特に支障のない限り」という表現については、任命権者にどの程度の裁量が与えられるかが重要です。しかしながら、この点については具体的な基準が明確に示されていないため、各組織の方針や状況により解釈が異なることがあります。

 

国家公務員が退職交渉を開始する際には、退職は当然の権利ではなく、承認事項であるという前提を理解することが重要です。退職希望を持つ場合、早い段階で所属部署の直属の上司や人事課の担当者とコミュニケーションをとり、円滑な手続きを進めるための努力が必要です。退職の意向を早期に伝えることや、組織の業務に与える影響を最小限にする提案を行うことも検討すべきです。

※ただし最終的には憲法第22条の職業選択の自由がありますので、こちらがやるべき努力をやった上でそれでもなお融通が効かない場合には強気に出てもいいでしょう。

 

以上の点を踏まえて、国家公務員が退職交渉を開始する際には、自身のスタンスを明確にし、関係者との適切なコミュニケーションを心がけることが大切です。